INTERVIEW

SPECIAL INTERVIEW _ 2017.8.4 UPDATE

PKCZ®

4月28日に初のオリジナル音源となる「PLAY THAT feat.登坂広臣,Crystal Kay,CRAZYBOY」を配信。そして8月2日に、1stアルバム『360°ChamberZ』(スリーシックスティ・チェンバーズ)をリリースしたばかりのPKCZ®メンバーに、結成時の経緯から今アルバムに込められた思いまでを語ってもらった。

まずはPKCZ®が結成された経緯を教えてください。

DJ MAKIDAI:「きっかけはHIROさんのお声がけによるものでした。そもそも僕ら3人は同い年で、それぞれ以前から顔なじみの存在でした。僕とVERBALくんは昔からいろいろな現場で顔を合わせていて、VERBALくんが主催のイベントにDJとして呼んでもらったりもしていました。また、僕がEXILEになる前にJ Soul Brothersとして活動していた時、m-floのVERBALくんとは同じレーベルのレーベルメイトでもありました。僕とDJ DARUMAとはそのJ Soul Brothersのさらに前身となるJ.S.B. Undergroundというグループで同じメンバーとして活動していた仲間で、もう20年以上のつき合いになります。僕らに共通するのは、クラブ・シーンで育ったということと、90年代のHIP HOPに大きな影響を受けてきたという点です。そして、そんな僕らの憧れであるHIROさん。この4人がチームでやったら何か面白いことができるんじゃないかというHIROさんのお声がけのもと、PKCZ®というユニットが始まりました」

なるほど、そういうことだったんですね。具体的にはどんな活動から始められましたか?

VERBAL:「2014年7月から何度かクローズドでプレ・イベントを開催しました。10月には横浜アリーナでハロウィン・パーティもやりましたね。あとは、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEのシングル「O.R.I.O.N.」のミュージックビデオにも出演させてもらいました。その当時は、まだコンセプトもそこまで定まっていなかったのですが、まずはイベントをやろうということになりました」

DJ DARUMA:「2015年にやったプレ・イベントには、もうAfrojackがDJとして参加してくれていました」

その頃から一部のファンの間では、「PKCZ®って何?」といった声が出ていたようですね?

DJ DARUMA:「PKCZ®というユニットのことを正式に発表する前に、PKCZ®のロゴが入ったキャップを作ったんですが、それがSNSなどでちょっとバズり始めたんです」

DJ MAKIDAI:「2014年のドーム・ツアー『EXILE TRIBE PERFECT YEAR LIVE TOUR TOWER OF WISH2014 ~THE REVOLUTION~』の時に、リハーサルとかでTRIBEのみんながPKCZ®キャップを被ってくれたりして、それがファンのみなさんの間でちょっとした話題になりました」

PKCZ®というユニット名の由来は何でしょうか?

DJ DARUMA:「それぞれの頭文字を開くと〈Primal Knowledge ChamberZ〉となって、意味としては〈本能と知識の部屋〉といった感じです。PKCZ®の音楽を聴いたり、我々にまつわる何かを見たり読んだりした人が、本能を解放して新たな知見を得られて、その人にとって新しい体験ができたり、新たな道への指針ができる。そうやって僕らを介してリスナーやファンの方々がヘッズになって欲しいという想いを込めて名前をつけました。また、〈Chambers〉という言葉は1993年にWuTang Clanが『Enter TheWuTang (36 Chambers)』というアルバムで使っていて、彼らももともとはそれを少林寺三十六房からサンプリングしていて、僕らも〈Chambers〉という単語自体に凄く思い入れがあります」

そういったところにルーツの一端が表れていると。グループとしてのテーマを教えてください。

DJ MAKIDAI:「音楽を中心としながら、世の中のヒト、モノ、コトをミックスして、新しい何かをクリエイトするというのがPKCZ®の活動の本線になります。僕らがこれまで様々な人に出会い、様々なアーティストに触れて、様々な感覚を捉えてきたことを混ぜ合わせて、それPKCZ®流にアウトプットすることでクリエイティヴな活動に変えていこうというものです。ミックスというのには、まさに今回のアルバムのようにいろいろな方々のご協力をいただいて作っていくという意味も含まれています」

想いとしては、DJユニットというよりもう少し幅の広いクリエイティヴ・ユニットという肩書きが近いのでしょうか?

DJ MAKIDAI:「そうですね。HIROさんも当初からPKCZ®をクリエイティヴ集団のようなものにしたいと話していました。もちろん、その中でDJや音楽というのはかなり中心にはなってきます」

DJ DARUMA:「ロンドンのTOMATOというクリエイティヴ・チームがあって、エレクトロニック・ミュージック・グループのUnderworldのふたりも所属していたりするんですが、そこには音楽だけでなく映像や様々なデザインなどいろいろなクリエイティビティを持った人たちが集まっています。僕らもそういったイメージを持ってスタートしました」

2017年4月28日にPKCZ®として初めてのオリジナル音源となるシングル「PLAY THAT feat. 登坂広臣,Crystal Kay, CRAZYBOY」が配信でリリースされました。

DJ MAKIDAI:「まさにPKCZ®のアンセム的な1曲で、これまでに自分たちがステージの上で一番多くプレイしている曲です。この曲に合わせて「PKCZ!」というお客さんとのコール&レスポンスもステージで何度もやらせていただきました。先ほどもおっしゃっていただいた通り、この曲が僕らにとって記念すべき最初のリリース曲となりました。曲自体はPKCZ®を結成して間もない頃にもう作られていて、この曲があったからこそ、その後のいろいろなことが広がっていって、このアルバムにもつながっていったという感じです。まさに僕らPKCZ®にとっては、DJが最初に〈Play That〉と言って曲をドロップしてパーティを始めるような、そんな意味合いの曲になりました。制作に関しては、Afrojackさんがサウンドプロデューサーとして参加してくださって、僕らといろいろすり合わせをしながらサウンドを作っていただきました」

MVも制作されたそうですが、どのような内容になっていますか?

DJ MAKIDAI:「本当にこの曲はいろいろなところでDJとしてかけたり、参加してくれているアーティストとともにパフォーマンスしてきたので、それを映像としてひとつの作品にしようということで、各イベントの「PLAY THAT」のパフォーマンス・シーンがダイジェスト的に1曲につながっています。ある意味、PKCZ®がこれまで歩んできた道のりをギュッと凝縮した映像とも言えます。観どころがたくさんあって、AfrojackやA$AP Rockyなど「こんな人もいるの!?」という場面もあるので、そういったところもぜひ楽しんでいただきたいです」

そしていよいよ8月2日に1stアルバム『360°ChamberZ』(スリーシックスティ・チェンバーズ)がリリースされました。このアルバムは、どんな想いで制作されましたか?

DJ MAKIDAI:「先にPKCZ®としてデビューしつつも楽曲はリリースせず、イベントを中心にやっていくというのは、他にはあまりないパターンなのかもしれませんが、逆にそのおかげでいい意味でいろいろとトライをさせてもらえたと思っています。そうして今までやってきたことをひとつの形にまとめたいという想いが、まずは一番にありました。あとは、やっぱり作品を出してPKCZ®の楽曲として認識していただくことで、その後のDJプレイもより盛り上がります。アルバムには新曲のMVが3本収録されていて、こちらもたくさんの方に観てもらったりもすることで、海外を含めいろいろな方々とつながれるチャンスが増えます。やっぱり自分たちはわかってもらっているつもりでも、意外と伝わってないことも多いので、こうしてきちんとフィジカルとして形に残すことが大切なのかなと感じました。そこで今までやってきたイベントであったり、ヒト&モノ&コトをミックスしてクリエイティヴなことを生み出すという僕らの活動の集大成的なアルバムを作ろうということになりました」

『360° ChamberZ』というタイトルの由来は?

DJ DARUMA:「さきほども出ましたが、WuTang Clanの『Enter The WuTang (36 Chambers)』というアルバムからインスパイアされています。“全方位的な"という意味合いも込めて“360°"とつけました。もちろんWuTangのあのアルバムが好きなんだよと伝えたい気持ちも込められています」

2曲目に収録されたアルバム収録曲「Cult Of Personality feat. EXILE SHOKICHI」では、EXILE SHOKICHIさんが参加されています。この楽曲はどのように制作されたのでしょうか?

VERBAL:「(EXILE)SHOKICHIくんと、どんなものを作ろうかと話をする中で、「SHOKICHIくんがこんな感じの曲を歌ったらかっこいいだろうし、普段とも違っていいんじゃない?」というイメージが出てきて、そこから彼が曲を書いていきました」

DJ DARUMA:「制作のためにみんなで一緒にスタジオに入ったよね」

DJ MAKIDAI:「あの時のSHOKICHIの集中力はヤバかったです」

VERBAL:「実際「こういうメロディを書くんだ!?」という発見もありました。あと「Cult Of Personality」という言葉には、実は元ネタがあるんです。言葉自体もかっこいいしトラックにも合うよねということで、タイトルになりました」

DJ MAKIDAI:「海外の大きな野外フェスとかで流れる場面が思い浮かぶ曲というイメージもみんなで共有していました。そうやってステージをイメージしながら作っていったので、リリックも壮大な感じになっています。その後、SHOKICHIは歌入れを一度したのですが、「いや、もうっちょっといけますよ」ということで、もう1回録り直してくれました。それもよく覚えています」

VERBAL:「曲に関しては、Aメロ→Bメロ→サビというような詰め詰めの感じにはしない方がいいのでは? という話もしましたね」

DJ DARUMA:「結果的にクラブでかけてもダンスフロアでしっかり機能する曲になったと思います」

8曲目の「CHAIN BREAKER(ALBUM Ver) feat. 登坂広臣, CRAZYBOY」は、昨年リリースされた『HiGH&LOW ORIGINAL BEST ALBUM』に収録されている楽曲に、新たにCRAZYBOYさんをフィーチャリングで迎えてアルバムバージョンとして収録されました。この楽曲についてもうかがえますか?

DJ DARUMA:「当時、登坂くんが、新しい感覚のサウンドをやりたいという話をしていて、それを受けて僕とChaki(Zulu)くんで最初の頃に作業をした曲です。僕とChakiくんもクラブ・ミュージックに関わる人間として、三代目 J Soul Brothersが起こした「R.Y.U.S.E.I.」以降のバズには衝撃を受けていて、あれだけダンス・ミュージックのトレンドをガチッと入れたものがレコード大賞を獲ったというのが、何か象徴的なできごとに感じました。だから、この曲でもダンス・ミュージックのトレンド、この時で言うならEDM的なエッセンスがしっかり入ったものをやりたいというのが僕らにもありました。そうやって僕とChakiくん、そしてトップライナーのSAKURAさんとで曲を作っていきました。登坂くんはそれを聴いて「コレいいですね」と言ってくれて、HIROさんも「PKCZ®の楽曲として一緒にやったらいいんじゃないかな」と言っていただきました。VERBALくんとMAKIDAIにも各段階で聴いてもらって、アイディアもいただいて、そして曲ができ上がったタイミングで『HiGH&LOW』の登坂くんの役のテーマソングになったり、その時彼が出演していたCMの曲になったりして、とても思い入れのある1曲になりました。昨年、横浜の赤レンガでやった『日テレ×LIVE in SUMMER YOKOHAMA PKCZ®×HiGH&LOW PREMIUM LIVE SHOW』の時にCRAZYBOYもステージに立つということで、途中の音サビのところで彼がラップしたらハマるんじゃないかと急遽レコーディングをしてライヴで披露してもらったんです。そのバージョンが三代目 J Soul Brothersと一緒に僕らが廻らせてもらっているツアー『METROPOLIZ』でのプレイにもつながっていった感じです。曲としては、『HiGH&LOW ORIGINAL BEST ALBUM』に入ってはいますが、今回は新たな音源としてCRAZYBOYが参加しているバージョンを収録させていただきました」

お三方それぞれから見た、アルバムの聴きどころを教えてください。

DJ DARUMA:「やっぱり僕としては、クラブ・ミュージックの態度がしっかり入っていて、HIP HOPのテンションなり、テクノ、ハウス、EDMの質感なりがふんだんに散りばめられているところです。とは言え、すべてをクラブ・ミージックに作ったという気持ちはなくて、クラブの要素をきちんと自分たちの態度として入れ込みつつも、いかにリスナーのみなさんが共感できるものにするかというバランス感が肝だと捉えていました。このアルバムを聴くことで、今までぜんぜん聴かなかったEDMのアーティストも聴いてみようとか、HIP HOPを聴いてみようとか、ハウスを聴くようになりましたというように、クラブ・ミュージックに対する何かのきっかけになってくれたら嬉しいです」

VERBAL:「まだPKCZ®が始まったばかりの2014年頃、僕のスタジオにELLYが「ちょっとラップを聴いてください」という感じで来てくれたのをよく覚えています。そこから一緒に楽曲制作をするようになり、その後の2~3年で彼はCRAZYBOYとして日本のHIP HOPドリームみたいな存在になりつつありますよね。やっぱり聴きどころのひとつとしては、そんなELLYが、自分が感じたことをそのままラップとして出しているところかなと。それがとてもかっこいいです。同じように登坂(広臣)くんも、PKCZ®というプラットフォームを通して歌うことで、「こういうのもありなんだな」と感じてもらえたんじゃないかと思うし、SHOKICHIくんに関しても、このアルバムでは普段とは違う声質や歌い方を披露しています。そんな風に、ぜひひとりひとりのアーティストの普段は聴けないようなパフォーマンスをチェックして、新たな可能性を感じていただきたいです」

DJ MAKIDAI:「聴きどころというと正直、全曲になってしまいます。ラップもあれば歌もあるし、ジャンルに関しても本当にいろいろな要素が入っていて、逆にこういった特定のジャンルでくくれないアルバムは珍しいのかなと思います。やっぱり僕らが通ってきた音楽やカルチャーの中から本当にいいなと思うものを取り出して、それをPKCZ®として形にしたらこうなりましたというアルバムなので、ぜひ全曲聴いて楽しんでいただきたいです」

今後、PKCZ®のこんなところに期待してもらいたいという想いを教えてください。

VERBAL:「僕らの音楽やイベントに触れた人が新しい世界への突破口を見つけられるような、そんな活動に期待していただければと思います。例えば、今回のアルバムにしてもいろんなジャンルの要素が散りばめられているだけでなく、海外の方を含め多くのアーティストやプロデューサーが参加しています。そこから「あ、こんなプロデューサーがいるんだ、他にどんな曲を作っているんだろう?」などと積極的な関わり方をしてもらえたら嬉しいですね。なんとなくいいなと思ったら、ちょっと調べてみて、他の曲なり人なりジャンルを掘ってみるというような聴き方です。今はiTunesやYouTubeで検索すれば、その周辺にある音楽がどんどん出てきますしね。そうやってちょっと能動的に音楽を聴いてもらうことで、僕らの意図もいろいろ伝わるでしょうし、それにより僕らの楽曲自体もより深く楽しんでもらえると思います」

DJ DARUMA:「それがまさにPKCZ®というユニット名=〈本能と知識の部屋〉に込めた想いでもありますよね。僕たちに触れてもらうことで、次の世界の扉を開ことにつながればいいなと常に考えていますので、ぜひそういった部分に今後も期待してください」